小説から三十一文字(みそひともじ)

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■■■■■■■■は小説・漫画・ゲームをメインとしたポータルサイトとのことで、エッセイというカテゴリも選択できるようになっているが、どの程度までのエッセイが許容されるものかよくわからなかった。

キーワード検索をかけてみたところ、雑記ブログの日記のような文章からアイドル考察、小説執筆方法論、その他たくさんの投稿作品がヒットしたので私が今回書こうとキーボードを打ち始めたこの文章もエッセイ枠に投稿して特に問題ないだろうと判断するに至った。


これは、タイトル『小説から三十一文字』が示す通り、元々は情報量を超圧縮して作品を投稿するに至る経緯を書いた雑記である。




私が■■■■■■■■に登録したのは、数年ぶりに、新たに創作した短編小説を投稿したかったからだ。

昨年末より新しい趣味を始めたり、これまでの趣味にひと区切りをつけたりと、生活スタイルを大幅に変えた。
その中で「これまでずっと書きたい書きたいと言い続けてきたものの、時間が無い事を言い訳に着手してこなかった「創作執筆のための時間」を意識的に取れるように調整した。

そこで、4月に久しぶりに書き上げたのが短編『桜色の忘却曲線』である。
その後、キャラクターの名前を変えたら一時創作として通用できるだろうということで、だいぶ以前に二次創作に大幅な加筆修正を施した『■■■■■』と続いた。


もちろん、完全に白紙の状態からの創作をしていくのが今後の目標だ。


その一方で、これまでオフラインでしか発表していなかった物語がこのまま風化していってしまうのも勿体ないという考えも燻ってきていた。
(私の場合、有名サークルというわけでは無かったので、通常発行部数は30部としていた)
それに、新規の作品創作期間中にサイトを更新できないのも寂しい。


加筆修正を施して発表できる作品ということで考えを巡らした結果、2014年に発行した「女性が執筆する官能小説本」に収録した連作作品に思い至った。
この冊子は、ライブハウスで出会った女性と、共通の趣味が創作ということで盛り上がり、合同誌を作ってイベントに出てみた時に発行した同人誌である。


当時、私が書いた作品は21,000字強。
読み直した上で、キャラクターの人物設定に少し手を加えてみたり、モデルとする都市を設定してみたり、インパクトのあるキャラクターにしたいからという理由だけで登場させたゲイのキャラクターは果たしてゲイである必要性はあったのか考えたり。
読者ターゲットは女性に設定しているので、主人公の20代男性・美容師によってヒロインに感情移入した読者へどのようなときめきを与えられるか、という点も考え直した。
加えて、R描写アリという設定でふるいをかけた読者が求めるものを踏まえて、作品の推しポイントをどこに持っていくかーなどなど。


しかし、考えていくうちにR描写を挿入する必要性があったのか、R描写を抜いたこのストーリーには何が残るのか、主人公の性格を作り上げた幼少期の母親とのエピソードが現在に繋がりきれていないーこの部分が主人公の恋愛観の核となるべき部分だったー
ここで立ち止まってしまった。



書き始めた当初は企画者2人で舞台となる場所を設定し、お互いの書くストーリーにお互いのキャラクターたちが登場し動いていくのが面白かった。
だが、次第に「官能表現をメインとした合同誌だから」「〆切もあるからとにかく書き上げなければ」という気持ちが大きくなっていったことがほろ苦く思い出されてきた。


いや、忘れていたわけでは無い。
そのような気持ちを見ないようにやり取りしていたことへの後ろめたさは、忘れられるものではない。
イベントを終えて蓋をしていたパンドラの箱を、最近の一連の作業を通じて開いたということだ。



さらに情けないことに、行き詰ってしまった事項に対して新たに立ち向かって行こうという意欲も日を過ごすごとに萎み始めていっていた。
当時の自分に対しても、サークルのメンバーに対しても、作品に対しても向き合い切れなかった気持をこのまま霧散させてしまったら、本当に何も残らない作品になってしまう。





そんな折、Twitterのタイムラインに流れてきた短歌制作体験記事に非常に惹かれるものがあった。



短歌のすみっこを伝えるwebマガジン『TANKANESS』に掲載されている「初心者向け短歌ワークショップに短歌初心者が参加したら、ちゃんと短歌が詠めた」という記事なので興味のある方は是非、検索して読んでみて欲しい。


短歌を作ったことのない人でも作れる方法についてのレポートで、この作り方というのが、ゲーム感覚でとてもわかりやすかった。


短歌と言うものは、「こんな情景や心情を詠みたい!」という拝啓をギュっと凝縮されたものである。
ならば、まずはその元になる短いお話(小説)を書いてから、五・七・五・七・七の三十一文字に落とし込みましょう、というシンプルな工程!



そうだ、リライトする気持ちが萎えてしまった一因には「そこそこ長さのある文章の大部分がR描写を含む官能シーンで、読後に残る余韻が無さすぎて呆然とした」というものもあったのだ。
それならばいっそのこと、ラストシーンだけを文字にして残したらそこまでの時間に何があったのか想像が膨らむのではー


そう、直感したのだ。





実際、工程を踏んでみて、私もこのレポートを書いた高下さん同様の高揚感を得られた。
過去から現在に続いていた後ろめたさが次第に無くなって行ったことは事実として感じられた。





身体は交わっていても、考えていること感じていることは交わっていなかった二人。
勝手に去っていくなら、燻るこの気持ちを忘れる方法も教えて行けよ、クソ女。




クソ女とは思っていない、と思う。
主人公のハルは年上キラーの犬系メンズという設定だったから。



閉じ込めていた作品をもういちど掘り返して、結果として別の形態
ー短歌として再生したことで、ある意味成仏させられたのかな、と思っている。



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ちなみに、画像で使用している原稿用紙は東京は浅草の満寿屋様と文筆家・牧村朝子さんの共同開発商品「SNS原稿用紙」を使用している。
クリームがかった柔らかな色みの紙面は見る者に懐かしさを覚えさせる。
書き心地も滑るよう。
SNS画面にぴったりフィットするサイズの原稿用紙に手書き文字。
原稿用紙自身とその上に踊る文字が語るものは大きいだろう。
手書き投稿というジャンルは、オフラインとオンラインの狭間でのびのびと生きている。


こちらもおすすめなので興味のある方は「SNS原稿用紙 まきむぅ」で検索してみて欲しい。
もしくは株式会社 舛屋へ直接問い合わせても通販対応していただける。



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素材:PhotoAC 夜の都会 空波さま




とある美容室で働く新人美容師・ハルは、女性スタッフ・リサさんにひと目惚れをした。
ダメ元で告白するとあっさりOKをもらえ淡々としつつも、はっきりとした肉欲の素材する恋人生活が始まった。
しかし、美容室と自分の部屋とリサの部屋を往復する日々はある日突然終わりを迎える。
店舗移動という他にも理由があったー

リサに自分以外の恋人がいるなんて知らなかった。
冬の夜空を見上げ、ハルはリサに呼びかける。