コロナ禍下のお葬式

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もう先週のことになるけれど、祖母のお葬式のため実家に帰省していた。
祖母は入院してしばらく経って、ここ3年は点滴だけで生きていた。
意識もほとんど無くなり、年に一度、年末に帰省する度に「次はもう会えないかもね」と思い、今年に入って母たちが“延命治療は行わない”という意思確認をしていた。



そして、コロナ禍。
面会も制限され、やがて解除され。
先々週くらいに母たちが病院に呼ばれ病状の説明を受けて、その数日後に祖母は亡くなった。
家族・親戚ともになんとなくの気持ちの準備はできていたので、大騒ぎになることはなかったようだが、後継ぎである三男夫婦はさぞかし大変だったと思う。
(祖母の家は町の小さな寺なのだが諸事情あって三男が後を継いだ)



コロナ禍ということで葬儀の規模は小さくしなければならないし、そういう方面での親族、ご近所への配慮。
人が亡くなっているのになぜ気を遣わなければならない、という意見もあるのはわかるけれども田舎ほど“目”があるのも事実。
関西から関東の実家に帰省した私も、最初は「来てくださるお坊さんに万一のことがあるといけないから、納棺の儀は出席を控えてほしい」ということになっていた。
さすがに翌日の出棺~火葬~通夜、翌々日の葬儀はそう言われなかったけれど。
寺から感染者が出たら一大事だからね。


納棺前に遺品の受け取りや、棺に入れるものの確認をするために30分弱、寺に行った。
その時に遺体を目の当たりにしてその存在感にどきっとしたものだけれど、納棺の儀について言われた時の方がなんだかじわっときてしまった。


通夜には町内の方もみえたけれど、それらの方々は家(寺の本堂)の中には入らず、外で記帳・焼香のみだった。


葬儀は本来なら寺で行いたいところだったが、家族以外の参列者を考慮して斎場での開催となった。
葬儀の後、ごく近しい人たちだけ寺に戻り納骨の儀と三十五日法要を行った。
あれ、葬儀の時に初七日法要も一緒にしたんだっけ?

リーダー格(?)のお坊さんに「だいさんもすっかり若奥様になってしまってわからなかったよ」と言われた。
残念ながら依然として奥様にはなっていないのだな。



通夜で故人の思い出を語る時間さえもないのか。
ごく近しい者だけの葬儀は悲しい。
という考えもあるだろうけれど、私は今回のような少し省略された形式でもいいような気もした。

それは祖母の死に立ち会うことはできなかったにしろ、死に顔を自分の目でちゃんと見ることができて、その時の何とも言えない気持ちをしっかり感じられたからだと思う。


さすがに「亡くなった」という知らせだけを聞き、葬儀に立ち会えないとなると話はちょっと変わってくる。




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実は、ほんのつい最近、高校の部活の同期が病気で亡くなった。


夏前にたまたま「手術を受けることになった」というツイートを見つけたので彼女と連絡を取れた。
ここ数年間は会う機会もなく、年にいちどくらいDM、あとは気づいたときにTwitterにリプをしたりくらいになっていた。


入院・手術。
コロナ禍ということでお見舞いには行けず。
ICUから出てリハビリが始まったって言っていたけれど、そういえば連絡なくない?と、思っていた矢先に妹さんから彼女が自宅に戻ってきていると連絡が入った。

同期メンバーで「いま、自分たちに何ができるか?」と相談はしたものの良い案が浮かばなかった。
とにかくご家族からの次の知らせ待つべきでは……とまとまった時に、訃報が入った。


葬儀はやはり近親者のみで執り行うとのことで、私たちはお花とお香典を送る事しかできなかった。


知らせを受けて彼女のタイムラインを遡った。
ほんの2週間前に「おうち最高」というツイートが投下されていて、フォロワーさんたちと楽しそうにやり取りがされていた。
家に戻ってきたというのは緩和ケアだったのだ。


彼女と繋がっていたアカウントには最近めっきりログインしなくなっていた、というのは言い訳にしかならない。
せめて私が彼女のことをもっと気にかけていたら、自分もそうだが、自分を通して他のメンバーともタイムライン上ではあるけれど最後にやり取りできただろう。



彼女の最期に立ち会えていないから、なんとなく、まだ「今年もまた彼女に会えないのか。彼女はいつも忙しいからな」というような気持ちが拭えない。
同期、そして当時の担任の先生とは「コロナが治まったら墓前に手を合わせに行こう」と話している。




コロナ禍を経て葬儀のかたちも変わるのだろうけれど、直接お見送りのできる機会があった方がよいな、と感じたできごとだった。