松竹座に行ってきました / スーパー歌舞伎Ⅱ 空ヲ刻ム者―若き仏師の物語―

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大阪松竹座にて上演中のスーパー歌舞伎Ⅱ 『空ヲ刻ム者―若き仏師の物語―』を観てきました。
今回はいつものおでかけメンバーw 会社のY田氏とM脇さんと一緒です。
猿之助となると書きたいこといっぱいになってしまって、以下(キモいかもしれない)長文レポとなります。

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「今年は歌舞伎デビューをしたい」と言っていたお二人。
そんな話を聞いていた年明け、ちょうどスーパー歌舞伎のチケットが取扱い開始となったのでお誘いしたのでした♡
私も歌舞伎デビューはスーパー歌舞伎だったので、入り口としては最適かなと。

私の場合、父親が高校入学祝いに何か東京で芝居でも見せたろ!と奮発して連れて行ってくれたのがスーパー歌舞伎でした。
当時、観たのはスーパー歌舞伎も第5作目となった『カグヤ』、かぐや姫の物語でした。
かぐや姫は今でも現役ヒロインを勤める市川笑也さん。

父親がなぜスーパー歌舞伎を選んだのかというと・・・

私の地元のご当地ヒーロー?!が小栗判官で(毎年「小栗判官祭り」も開催。私自身も小学生の頃に武者行列の一員として参加経験ありw)、この判官様を題材としたスーパー歌舞伎『オグリ』上演の際に一門の皆さんが、私の大叔父が住職を務めていたお寺さんにゆかりの地探訪ということで訪れていたんですね。それで、うちの町民には名前だけは馴染みのあったスーパー歌舞伎。父親もまだ観たことがないし、ちょうどいいだろうと)
純粋に楽しかったのと、女形さんの美しさがすごく印象に残って・・・。
笑也さんキレイ♡とすっかりハマり(写真集も買ったし、無論、ラジオ邦楽ジョッキーも聴いてました)これなら古典も見たい!と父親に言ったら、その年の歌舞伎座・七月大歌舞伎に連れて行ってくれまして。
演目は猿之助のひとり15役早替わりがみどころの『獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)』。
笑也♡笑也♡で行ったのに、劇中、ぱっと現れた土手のお六の三代目猿之助(現:猿翁)さんの色気にやられて、あの瞬間から三代目猿之助贔屓♡になりました。
以降、自分の中では歌舞伎=猿之助
古典もスーパー歌舞伎も機会を見つけて観に行くようになったのです。

歌舞伎を観に行くようになったきっかけとかを振り返っていたら長くなってしまいました(汗

というわけで、元々は三代目の猿之助さんが好きで歌舞伎を観に行っていたので、白状しますと私の亀ちゃんもとい四代目猿之助さん歴はすごく短いのです。
襲名前・亀治郎時代に生で観た中で記憶に残っているのなんてスーパー歌舞伎『新・三国志Ⅱ』(2001年)でびしょ濡れになって大立ち回りを演じてた関平くらいじゃないか?!(この時は舞台上に滝が流れ落ちる舞台セットが作られていて、本物の水をばっしゃばっしゃかけ合いながら立ち回りをしていたのです。亀ちゃんがまき散らす水はファンの間では“亀水”と呼ばれていました)
それと自主公演第1回目の『摂州合邦辻』のチラシ。
あれはもう手元にはないけれど、ものすごく印象に残っています。
四代目への偏愛については以前にも書いたので割愛しますw

 

以下、やっと当日の観劇日記です。

まず、歌舞伎のチケットはどうやって取るの?とよく聞かれるのですが、私の場合、ずっと三代目の後援会「おもだか会」(オフィスえん)の会員ということもあり、そこを通じて取っていただいています。
興業の数か月前にチケット取り扱い開始のお知らせが届くので、希望の日時を同封のハガキで申し込み。チケット代金はチケットが到着後に銀行振込または当日に劇場の後援会受付(入口近くに白布に役者さんの名前が貼ってあるテーブルがありますよね)で支払います。
後援会に入る前はチケットホン松竹か、劇場窓口で購入していました。
今はチケットweb松竹もあるみたい。
私はいつも1階席か3等席を選んでいます。
1階席は役者さんが近いから。
3階席は全体が見渡せるから。
特にスーパー歌舞伎の場合だと、1階席は宙乗りで飛んでいく役者さんを見上げられる、3階席は役者さんがだんだんと上空に上がってくるようすをたっぷり見れる(ハケ口に近い席なら最後の最後まで役者さんを見ていることができる)のがポイントです。

私たちが観に行った日は4月5日(土)。
初日初回です!

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「歌舞伎やし、ちょっとオシャレして行かなあかんかな」とY田氏・M脇さんはかわいいワンピース。
一方自分は普段会社に来ていくような服orz
でも、やっぱり劇場は華やかです。
春色の綺麗なお着物姿のお姉さま方もたくさんでした。

初日初回は13時開演。
(通常は1日2回公演で11時開演 / 16時半開演です)
劇場に入る前にお昼を食べてしまおうー私とY田氏は京都住みで大阪のお店よくわかんないからM脇さんよろしくー♪
M脇さんセレクトは松竹座からすぐ近くの今井さん。

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甘いおあげで幸せになれる、きつねうどんが有名なお店でした。
帰り際に知ったのですが、お持ち帰り用の観劇弁当もありました。
次回観劇の時はこれにしよ!

劇場に入ったら最初にパンフレットを購入。
(劇場に入って最初にすること①パンフ購入②お手洗い、です。笑)

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今回素敵!と思ったのは、いつもなら白黒の顔写真になるメインではない役者さん紹介のページも充実していたところ。
黒を基調とした、全身入り集合写真です。
カッコイイ♡
写真に見える茶色い紙切れはラスト前の大きな山場で、舞台上から大量に飛んできた「木屑」。こういうの、拾って持って帰ってきちゃうんですよね。なんでも記念品(*´д`*)

パンフレットを買ったあと、3人が食いついたのはこの公演の記念として猿之助さんが祈りをこめて作ったという「三気の御守護(さんきのおまもり)」。
京都の三法堂でひとつひとつ手作りされたお守りを富士山の麓にある「太神社」でお祓いをしたものだそうで、富士山の「気」、役者さんたちが健康で舞台に立てるように「祈」り、この舞台が劇場を訪れたお客さんの「喜」びとなるように作られたものです。
1日の販売数・限定100個ということで1,500円即買いでした(笑)
『愛』の字は猿之助さんの直筆を彫ったもの、お守りのかたちは役者さんたちの汗や涙の雫をイメージしたものとのことで、さっそくバッグにぶら下げています。

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この他、チラシの二人の写真がラベルになった佐々木酒造のお酒とか舞台写真なんかも販売されていて、劇場に来たらこういうお土産ものも楽しみのひとつだよね~とうきうき。

お芝居については、まだ上演中のため印象のみをメモ書き程度に綴ります。

 

「セカンド」って、三代目のスーパー歌舞伎と何が違うんだろう?
制作が発表されてからずっと思ってたのですが、全体を通してみた感想。

「やっぱり違う」

 

- 現代劇の役者さんの客演

第一に、佐々木蔵之介さん・浅野和之さん・福士誠治くんの客演。
役者さんたちも慣れない面あったかと思いますが、観客側も不慣れだったかも。
佐々木さんが花道から出てくるシーン、歌舞伎役者さんだったら絶対拍手がくるよねってとこでも手が来なかったもん。
「拍手したいけど歌舞伎役者さんじゃないし、しちゃっていいのかしら」という空気が一瞬流れた気がしてたのは私だけ・・・?!(笑)
そういう役者さんの不慣れなとこも演出としてうまく取り入れてたのが宙乗りシーンで、観ていて面白かった。
今回の目玉・猿之助さんと佐々木さんの二人宙乗り猿之助さんは慣れたもので無邪気に佐々木さんの手を取って飛んでいくのですが、佐々木さんの方は表情も身体も固まってる。
役柄も猿之助さん演じる仏師の十和(とわ)は良くも悪くも無邪気な性格。秘伝の術で空が飛べるとなれば、これはいいとばかりに素直に飛んでいきます。一方の佐々木さん演じる領主の息子・一馬(かずま)は真面目くん。飛ぶことにもちょっとビビっちゃってます。もちろん役者とし宙乗りは初めてだし、「空を飛ぶのは初めてだが・・・なかなか良い眺めだなあ」が佐々木さん自身の気持ちとかぶって聞こえました。
役者さん自身の人柄と、役の人柄を重ねて観る楽しみも歌舞伎にはあると思います。

 

- 腹八分目のちょうど良さ

たとえば、三代目のスーパー歌舞伎なら「あの炎が燃えさかるシーンはきっと京劇の人たちを使って身体的な演出が入っただろうな」とか、「ここの大立ち回りではセットを壊すくらいしちゃうだろうな」とかいう箇所がありました。
四代目は、いま自分が持っているもので勝負しようという姿勢を感じる舞台セット・演出という印象でした。
加えて、作品のテーマについても三代目であればもっともっと台詞で伝えたいことを繰り返ししつこいくらい語っていたとも思います。(こういう俺!俺!なとこも好きでしたが)
一方、四代目は長台詞はもちろん組み込んでいたものの、感じるべきこと・想いについては最終的に観客へ投げかけている、そんな印象を受けました。あっさり。
人々の幸せとは何なのか? 仏とは宗教とは人々にとって諦めか? 受容か? 何の救いになるというのか? 己がめざすべき道はどこにあるのか―
台詞上での答えはあるけれど、観客が自分自身で観ている最中や観劇後に思い出して自分なりの答えを見つけていくような類の芝居でした。

 

- 笑也さんのまなざしが母すぎる件について

女盗賊・双葉(笑也)さんの館での酒盛りシーンはスーパー歌舞伎第1作目『ヤマトタケル』の熊襲の豪族の館での酒盛りシーンを彷彿とさせるものがありました。
懐かしいなぁー・・・と、思うのも変ですが仕方ない。
また、第2幕目からは今までのスーパー歌舞伎テイストの曲が使われていて、そこもまた懐かしさを感じてしまったばかりでなく、翌日からは何故か三代目時代の『新・三国志Ⅱ』のカーテンコールの曲が頭の中をぐるぐる回り始めて、あげくヤフオクでCDを落札してしまった始末です。

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あたしって、ほんとバカw

襲名披露の『ヤマトタケル』の時も感じたことではありますが、三代目時代からずっとスーパー歌舞伎というジャンルに携わってきた一門の皆さんの包容力も今回とても大きく感じました。
中でも、笑也さんのまなざしが母過ぎて萌えッ!!
特にラスト前、浅野さん扮する祈祷師で産婆の鳴子が双葉と一緒に空を飛ぼうとするシーン。
張り切るお婆の背に掴まりながらも、双葉の表情は「はいはい、がんばってねぇ」くらいの気軽さ。でも、愛のある脱力加減なの!
それが新規参入の役者さんをあたたかく見守るような表情に重なって見えてきて。
スーパー歌舞伎皆勤賞の笑也さんだからこそ、そういう風に見えてしまった表情。
・・・萌えッ!!
(しかし笑也さん、三代目が「奇跡の50歳」と言うのも仕方ない美魔女っぷりでした。ほんとにいくつになっても“娘さん”にしか見えないマジック)

 

- 四代目の目

「やられたなぁ」

と感じたのは、1幕目の十和の登場シーン。
花道から「お婆ぁ~!」と駆けてきて、会話の中でぱっと顔が見えた瞬間です。

・・・ずるい。

あの表情はずるい。
十和が何歳の設定なのかはしらないけれどあんなきらきら光る両目、無邪気な青年の顔ができるなんて一体何なの?!
その後、ストーリーの展開に沿って十和の表情も怒り、苦悩し、歪み、絶望し、強がって、吹っ切れて、開眼し、再び自分の理想へ向かって輝き出す―
大詰めでの立ち回りの時のやんちゃな「どやぁ!」な顔も見ていてワクワクものでした。
表情が内側からにじみ出てくる、と言うか「顔が活きている」と言うか。

これからも、四代目の輝く目を見ていきたい♡

というキモチワルイ言葉で長くなってしまった感想日記を締めます。
『空ヲ刻ム者』、三国志の時みたいに脚本が書籍化されたらいいのに、と思います。

歌舞伎ビギナーのお二人ですが、初めてのスーパー歌舞伎はとても楽しんでいただけたもようでお誘いしてよかった。
幕開きの口上から1幕目の展開で一気に心をわし掴まれてました。
言葉が解りやすいのも楽しんでもらえた大きな要因でした。

 

次の観劇は5月10日の『伝統芸能の今2014』(春秋座)ですヽ(*´∀`)ノ

 

今日のBGM:YMO「君に胸キュン」