あの日、あの時、あの子はノーブラ

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先月末に映画「君の名は。」を観に行った直後に新海誠さんによる小説版と、過去にも新海映画のノベライズを担当してきたという加納新太さんによる小説「君の名は。 Another Side:Earthbound」を併せて購入していたのだけれど、あっという間に半月以上が経ってしまっていました。
今でも映画館は高校生や大学生でいっぱいでしょうか?
私自身が観に行った時は上映開始わりとすぐの時期で、隣の席が女子高生二人組だったんです。
(なぜ上映中にコソコソ話をする~? なぜ上映中に袋菓子をバリバリ音立ててあける~?)と彼女たちの行動がめっちゃ気になってしまってたんですが、数日前Twitterフォロワーさんも「後ろの高校生のおしゃべりがすごい気になった」とつぶやかれてて、これはもちろんたまたま私とフォロワーさんの近くの高校生だけがこうだったのかもしれないですよ。
私が木を見て森を見ずというか、 ババアの小言的なことを言ってるのかもしれませんよ。

でも、もし、ここ以外でもそんなことを読んで、ぞれならひとりで静かに観たいからDVD出るまで待つわい、とか、とりあえずストーリーだけ知りたいんだよ、という方がいたらまずは新海さん版の小説を読んで過ごしてください。

小説 君の名は。 (角川文庫)

小説 君の名は。 (角川文庫)


文章でも三葉と瀧の想いの追いかけっこをドキドキするスピード感で楽しめます。
(先に小説版を読んでいても映画は充分楽しめます)
しかし! やっぱり「君の名は。」は映画館で観ておいてほしい。
劇場で流れる音楽、聴こえてくる三葉たちの方言、大画面で観る美しい風景と壮絶な風景、彗星、小説版にはなかったシーン。
映画を観た後でゆっくり文字で回想するのもまた良き哉。

新海さんは最初は小説版を書こうとは思っていなかったそうです。
それでも、書きたいと気持ちが変わっていった理由があとがきに綴られています。

この物語はもちろんファンタジーだけど、でもどこかに、彼らと似たような想いを抱える人がいるのだと思うのだ。大切な人や場所を失い、ぞれでももがくのだと心に決めた人。未だ出逢えぬなにかに、いつか絶対に出逢うはずだと信じて手を伸ばし続けている人。そしてそういう想いは、映画の華やかさとは別の切実さで語られる必要があると感じているから、僕はこの本を書いたのだと思う。

3.11を連想してしまいますが、もちろんそれでだけではありません。
人は、世間は、いろんなことを忘れていってしまう。
でも、忘れてはならないと声にならない叫びをあげ続けている人もいる。
直接影響を受けていないと思っている人だって(私含む)、同じ時代に生きている限り忘れないでいたい。


それから、思春期の頃に思い描いていた何かを追い求める気持ち(これは本当に人それぞれのもの)。
三葉と瀧、二人の想いを中心に描かれた物語だけれど、たくさんの人の想いが繋がっています。
目で読む言葉が、耳で聴いた言葉と結びついて、想いを結びつけるに至るまでの大きな繋がりに改めて気づけた気がします。






===== ここからは映画を観てきた方向け=====

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)


映画を観たら是非、「Another Side:Earthbound」を読んでニヤニヤして、きゅんとして、切なくなって、泣いてください。
またさらに「君の名は。」が愛おしくなること請け合いですよ。
表紙右半分の四人(瀧・テッシ―こと勅使河原・妹の四葉・三葉たちの父)視点で語られるサイドストーリー。


第1話「ブラジャーに関する一考察」
三葉になっている時の瀧視点ストーリー。
巫女である三葉と同様、糸守の町を十字架のように背負うテッシーが主人公の第2話「スクラップ・アンド・ビルド」と併せると、作中後半メインとなって活躍するイトモリーズ(瀧/三葉・テッシー・サヤちん)の繋がりがより胸に迫るものとなることうけ合い。
テッシーはテッシーで、糸守の町を変えたいって考えていたから三葉の計画を後押ししてくれた。
そりゃあ、昔はちょっと恋愛的な意味でも三葉を好きだったんだろうとは思う。
でも瀧が三葉を少し解き放ってくれたおかげで今までよりももっと違う感覚で繋がれたように思いました。
三葉になっている瀧がふざけてテッシ―にくっつこうとしてテッシ―がすごい照れるシーンは文字で読んでもニヤニヤする!


第3話「アースバウンド」は「最近お姉ちゃんがおかしい!」に始まる幼い妄想爆裂の四葉視点での展開ですが、第4話へと繋がる流れになっています。
宮水三葉、四葉、おばあちゃんの一葉、そしてお母さんの二葉。
そして、さらに昔の人々のこと。
糸守町における「宮水の女」の歴史を感じて、四葉も成長していくんだなぁと、「ムスビの歴史」を知る章となっています。
ちなみに、earthboundの意味は
1〈根など〉地に固着している.
2〈動物・鳥など〉地表から離れられない.
3世俗にとらわれた,現世的な; 想像力のない,散文的な.

〈宇宙船など〉地球に向かっている.


第4話「あなたが結んだもの」は、三葉たちの両親である溝口俊樹と宮水二葉の出会いと別れを含めた物語です。
映画の中では、宮水家の様子は回想シーンみたいな感じでさらっとしてしまってたし、終盤、もういちど三葉が俊樹の元へ走って行ってからも流れるような展開だったので、映画を観た時には「え~~~もうちょっと俊樹に関すること描かなくていいの?」 と思ってたんです。
物足りなさは感じつつ、鑑賞後すぐに書いたブログでは俊樹の設定がヒットと書いていました。
shiba-fu.hatenablog.com
映画中では、三葉に向かって俊樹が「妄言は宮水の血筋か」というようなことを吐き捨てるように投げつけていて、俊樹は自分の娘に対して何故そこまでつらく当たるのかが謎でしたね。
そのあたり、最初から最後までちゃんと解き明かしてくれています!
民俗学の調査中に二葉と出逢い、やがて意気投合した俊樹。
ほとんどすべてを捨てて糸守に婿入りしてきてから解った、糸守における妻の存在、役割の大きさ。
四葉を産んだ後の妻の死に悲嘆にくれる俊樹は、妻の死を町の人々が「二葉さんは神様のような人だったから連れて行かれてしまったんだ」ということで片付けようとしていることに大きく傷つけられます。
こんな古い土地の繋がりをいちど壊してしまいたい、と俊樹は町長選に出馬、当選を果たし、再当選を狙って運動中というところ。
活動の中では土地の有力者は取り込まねばならず、俊樹自身が新たに土地内での「腐敗のニオイ」のする繋がりを作って行かなければならなかった矛盾が痛い。
しかし、俊樹なりに傷つき、また他人を傷つけながら町長という地位を得たこともまた映画中・小説中で繰り返し繰り返し言われてきた「ムスビ」の一環だったことがわかるラストは、もつれ、絡み合った糸がすうっと1本真っ直ぐに通ったかのような晴れやさを感じられるものでした。
あと、もしかしたら俊樹と二葉も入れ替わっていたのかもしれないなぁと想像しましたね。
こっちは俊樹は完全に忘れてる、二葉も忘れているけど深層心理では覚えていてそれが俊樹に対して積極的な態度になっている・・・?
そんな妄想も捗ります。



ざくーっとあらすじっぽいことを書いてしまいましたが、映画を観てもうちょっと「君の名は。」の世界を知りたいと思ったら読んで損はない1冊でした。





最後に、タイトルのノーブラの件ですが。
これについては1話を読んでください。
瀧は悪くない!
(・・・・・・でも、これって体育の時間前にバレててもいい問題ではないかい?)
※映画ではこのことがちゃんとわかる動きだったそうです。2回目観る時絶対そこ見てしまうな。

いや、ちょっと軽く書いてしまったけれど瀧はおっぱいだけでなく、糸守での三葉自身をかなり解放してくれたと思うのです。
それまでの三葉は、同性のサヤちんが言動も行動も過ぎるくらいしっかり自己防衛しているって言うくらいしていて、自分で自分を縛っていた感があった程。
いつもと違う三葉に対して周りははっきりとプラスの反応を返してくれてたのだから、元の生活に戻ってからは三葉がそこに馴染んでいけますように。




もし、またこういうサイドストーリーが出るならば、今度は東京サイドを読みたいです!
瀧になった 三葉と 司くん・真太のカフェ巡り中の会話も聞きたいし、奥寺先輩とどれだけ楽しそうに話していたのかも知りたいし、東京から糸守を見た三葉の気持ちとかね。
もしかしたら、コミックス版で垣間見れたりするのかもしれません。

君の名は。 (1) (MFコミックス アライブシリーズ)

君の名は。 (1) (MFコミックス アライブシリーズ)




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