松竹大歌舞伎 中央コース『一本刀土俵入』を観に岸和田に行ってきました。

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突発的にチケットを取った松竹大歌舞伎(四代目市川猿之助・九代目市川中車襲名披露公演)に行ってきました。

新橋演舞場での襲名披露もまだついこの間だと思っていたら2012年6月だったのですね。
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2年前!!
襲名披露弁当の包み紙・・・まだとってあります(;´∀`)

新橋2回、大阪、名古屋、博多・・・とメインの興業はなんとか行けていたので、今年の巡業公演は京都だけでいいか、と他の劇場での公演案内をろくすっぽ見ていなかったのです。
しかし、ある日何気におもだか後援会からのお知らせを見たら演目の中に『一本刀土俵入』が。

大学時代、猿翁さんの京都造形芸術大学の夏期講座を聴講した時に面白そうと思いつつもまだ見る機会がなかった演目。
しかも、猿之助さんがお蔦さん。
土日で行ける関西公演が今日の岸和田しかない、遠いなーとは思いましたがe+ですんなり昼の部・三階席も取れたので行って参りました。

朝はいつもの出勤時間とほぼ変わらず。
阪急電車・JR・南海電車と乗り継いで、岸和田駅に到着。
駅も、商店街も、その他いたるところ『カーネーション』の文字・写真。
カーネーション』、見てなかったのでいまいち聖地巡礼感もなく・・・。

とりあえず、岸和田とくればだんじり祭り
祭りはまだ見たことがないので、山車や祭りの映像が見えるだんじり会館へ行ってみました。

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駅から徒歩で15分弱。
祭りのようすを映像で見られる他、古いだんじり、法被の展示なんかがあります。

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京都・祇園祭の山鉾と比べるとだいぶ小ぶり。
映像を見て納得。
大勢の男の人たちが狭い道路をものすごい勢いで、オラオラオラオラオラオラオラオラ!!とこのだんじりを引き回していく。
京都のなんとなく風情のあるコンコンチキチンとは別物です。
そら、毎年怪我人も出るわ。
でも、好きです。
この“男”な感じ。
動くだんじりの上で飛び跳ねて引き手を煽る役割の男の人もカッコイイ。

3階に行くと、3Dシアターも。
会館に入った時点で10時過ぎ。
12時にはお芝居が開演で、せっかくなら岸和田城も見てみたかったため時間がないなぁ~と思いつつ、入り口で呼び込みするお姉さんの笑顔に負けシアターへ入場。

3Dシアター、なめてました。

まずは祭りの観客側の視点で始まるものの、すぐにだんじりを引く側の視点に切り替わり、かつ、だんじりが道路を進んでいくその振動をも再現(座席が小刻みに揺れる)。
その振動、椅子に立てかけておいた日傘が倒れる程度。
ドコドコドコドコと引き手の気分になって町を進行。
最後に再び観客視点に切り替わるのですが、通りの角をハイスピードで曲がっていくだんじり
遠心力についていてなかった引き手メンズが観客に向かってごろごろごろーっと倒れ込んでくるんです!

Fuuuuuu!!

最初の期待値が低かっただけに約3分間のシアター上映、めっちゃ盛り上がりました。
ひとりでだけど。

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その後、岸和田城天守閣に登って岸和田の町を眺め。
天守閣内の展示コーナーでは古文書や甲冑の企画展。
桃山時代に流行したという「動植物を形どった兜」がかなりの萌え兜で驚きました。
城内写真撮影禁止だったので覚え書き・・・。

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帰宅後、ググってみたらもっとすごい兜がごろごろ出てきて面白かったので貼り付けておきます。

戦国武将のオモロ系な兜・甲冑 まとめ - NAVER まとめ

お城も見たので、急ぎ公演の行われる浪切ホールへ向かいます。
到着は開演10分前(汗

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浪切ホールでの観劇は二度目。
一度目は二十一世紀歌舞伎組を観に来た記憶が・・・たしか、寒い時期だったはず、といろいろ検索してみましたらおそらく2002年11月の猿翁さん監修・千本桜(忠信篇)だったのではというところまで手繰れました。
二十一世紀歌舞伎組だった右近アニキを始めとする一門の皆さんに、中車さんも加わり今日の襲名披露巡業公演。
なんだか感慨深いものです。

一幕目は『太閤三番叟』。
笑三郎さん・笑也さんの踊りのあとに来る右近アニキの颯爽とした踊り。
舞いながらの立ち回りがきりりと華やか。

二幕目の口上では、久々に体験する場内崩壊ktkr!!
寿猿ジジ様恒例「あれから51年・・・」のご挨拶の後、それは始まった・・・。

意訳すると、『カーネーション』を見て、だんじり祭りの凄さ、特にだんじりの上で飛び跳ねる男の人を見てえらく感動した。いつかは岸和田に来てみたいと思っていたところ、今回の巡業でそれが叶い大変嬉しく思う。

と、こういうことだったのですが何せジジ様、御年84歳。
話しているうちに「えーと何話してたかな」ってなってきちゃうのね。きっと。
しどろもどろなジジ様の口上に、お辞儀をしたまま控えている猿之助さんの方がブルブルガクガク。
笑いをこらえる猿之助さんにのって大向うさんも「猿之助!」の掛け声。
次第に他の役者さんまでブルブル。
客席もざわ・・・ざわ・・・。
ジジ様も最後は開き直って「わーはっはっは!」と大笑い。
舞台上の役者さん方はズッコケ、客席も笑いと大拍手。
こんな澤瀉屋さんメンバーと口上が大好きです。

そんなジジ様、最近ブログを始められました。
今日の公演についてもさっそく更新されてます♡

岸和田|我が人生に悔いなし!市川寿猿のブログ

ジジ様には是非ともだんじり会館へ行っていただきたい。

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ここでも、ましゃ兄からの祝い幕。

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休憩が25分間あったのでラウンジにて岸和田ドッグをもぐもぐ。
泉州野菜とサルサソースのマリアージュ

三幕目、いよいよ『一本刀土俵入』。
猿之助さんのお蔦、中車さんの駒形茂兵衛。

実は、お写真では数多く見てはいたものの四代目の女形を観るのは今回が初めてでした。
普段「四代目♡四代目♡」とうきうきしているものの、ちゃんと意識して観だしたのは襲名披露の時から。
ビギナーもええとこです。
それまではずっと「三代目♡三代目♡」。
(猿翁さんが倒れられてから2012年の襲名披露までの間は歌舞伎を観に行くこともなく、すっかり離れてしまってました)
その三代目に惚れたのも女形の役を観てから。
1996年七月大歌舞伎『獨道中五十三驛』の土手のお六。
当時、猿翁さんは56歳だったはず。
なのに、早変わりですっと現れたお六を観て「誰?あのしゅっとしたきれいな女形さん?!えーっ猿之助?」でコロリ(笑)

四代目も、びっくりするくらい自然に女でした(*´д`;)…

線が細いから、後ろ姿のうなじなんて女そのもの。
やけっぱちで気まぐれで自分にも他人にも投げやり。
所作や口調からそんな女の生き様がじくじく溢れ出ている。
宿の二階、ひとり三味線を爪弾きながら故郷の唄を歌う。
年増女の孤独と色気。

ピュアな(と表現します)茂兵衛とのやり取りもあり、一幕目、よう泣けました。

芝居がどうの、とかそんなことは申せません。
猿之助さんのお蔦にうっとりして、泣きたいがために観に行ってるだけですから。
日常から離れてただただ好きな役者さんを観て、その時間、熱に浮かされる。
劇場から出たらしばらくその余韻で日数を過ごし、また次の観劇予定のために生きる日々。
心を奪われるとはまさにこのこと―先代も四代目も、とんだルパン3世です。

岸和田までの移動疲れ(?)と、開演前に動き回ったこと、休憩時間に岸和田ドッグでおなかもにもひと息入れてしまったことで三幕目に少し意識が飛んでいた時間もありましたけど、最後にすっかり様変わりした茂兵衛との再会と別れのシーンにまた涙しながらも10年前と逆の立場で同じことが繰り返されていてそこに笑いも。
人情物の、「いろいろあったけれど、ああ、良かったねえ」という泣ける笑いが好きです。

三幕目の横綱の夢やぶれ渡世人となってしまった茂兵衛の変り様にもまた驚き。
声の調子、所作、顔もいきなりしゅっとして。
最後の台詞、「これが十年前に櫛、かんざし、巾着ぐるみ意見をもらった姐さんにせめて見てもらう駒形の、しがねぇ姿の横綱の土俵入りでござんす」は文句なしに格好良かった。

今まで拝見した中車さんの中でいちばん好きなお役になりました。
もう「歌舞伎をしている香川照之さん」なのか、市川中車さんなのかどっちでもいい。

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終演後、搬出口でツアー車発見♡

半日、岸和田とお芝居を楽しんで。
今回も楽しかったー(∩´∀`)∩