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歌舞伎NEXT『阿弖流為』@松竹座観劇 ~泣ける準備はできていた~

歌舞伎

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ちょっと記事をアップするのが遅れてしまいました。
10月4日(日)に歌舞伎NEXT『阿弖流為』を観てきました。

東京での上演中からずっと観てみたいと思っていたお芝居で、観劇最中からお芝居の世界にどっぷり浸ってしまって、観劇後もふわふわした足取りで帰宅しました。


『阿弖流為』は2002年に劇団☆新感線が上演した舞台劇。
市川染五郎さんも今回同様、阿弖流為役で出演。
それを今年の夏に新ジャンル「歌舞伎NEXT」を銘打ち上演。
先月の中村獅童さんの『あらしのよるに』もそうだったけど、歌舞伎とは異なるフィールドで育てた“愛するもの”を歌舞伎の舞台に持ち帰ってきて魅せてくれる―そういうことをしてくれる世代なんだなあと思ったり。




笑いの要素もありましたが、この日はもう「泣きに行こう」というつもりで行っていたのでその点でもすっきり大満足。

歌舞伎や能楽、その他伝統芸能や大衆演劇なんかだと粗筋も事前にわかっていて観に行くことがほとんどじゃないですか。
「このハナシのあのくだりがほんまに泣けてねぇ~」なんて具合に。
お芝居を観に行く時は「今日はこういう気分を味わいに行く!」、そんな自分設定はありますね。

歌舞伎NEXTは古典歌舞伎じゃないですが、平安時代、蝦夷の頭領・阿弖流為が題材という時点でもう「これは泣ける芝居や!」と、阿弖流為と相対する朝廷軍の将・坂上田村麻呂との男同士のアツいやり取りをも想像してね。



大和朝廷ー古き時代の日本列島を統一した偉大なクニ。

でも、その背景には政権にまつろわぬ人々との戦があり、多くの血が流れたわけです。
「征伐」される側は「オニ」と呼ばれ人と見なされてもいなかった。

そんな日本国内での民族闘争の中で、必然のように巡り会った阿弖流為と、田村麻呂の間に芽生えたフェアな友情、信頼、リスペクト。
この繋がりこそが戦をなくしていける希望だったのに―。


ちょっと脇道に入りますが、坂上田村麻呂が主人公の能楽『田村』って、修羅物というジャンルに分類されるんですね。
その中でも勝った武将の演目なので勝修羅(かちしゅら)。

修羅能(しゅらのう)とは、能の演目の中で武人がシテになる曲を言う。
修羅物とも言う。
五番立においては二番目物となる。
修羅道に落ちて苦しむさまが語られることからこう呼ばれる。
多くは『平家物語』に取材し、源平の武将を主人公とするが、『田村』などの例外もある。
戦いに負けた側がシテである負修羅(まけしゅら)がほとんどであるが、戦いに勝った側をシテとする勝修羅(かちしゅら)もある。
~Wikipediaより~

戦に勝っても修羅の道。
勝者の下にうず高く積み重なるのは、戦に倒れた武将のみならずそれを支えた女こども、老いた者だから。

と、考えてしまうところではあります・・・


でも、実は『田村』は修羅物ではなく祝言の能です。
修羅物は修羅道という地獄に落ちた武将の妄執の責め苦を主題にしている中、『田村』の詞章には「詞を交す夜声の読誦」と一言だけ仏教的な臭いがするものの、全体には祝言性に満ちています。
能楽は世阿弥による大成の後は江戸時代の武士に好まれた芸能。
そんな中、とりわけ初代征夷大将軍を扱う『田村』は、征夷大将軍である徳川家には我が家の誉れを世にしらしめる恰好の曲でした。


閑話休題。

やっぱり勝ち将軍である田村麻呂も悩み苦しんだことには変わりないと思うので、修羅の道に立ち向かう阿弖流為・田村麻呂の宿命、それゆえのあの(一応の史実とは異なる)ラストの二人の対決が切なかった。

と・いうわけで。

こういう男がアツいドラマが大好物な私は、おおいに燃えました!萌えました!


そういえば、阿弖流為をちょっとだけ身近に感じるのは京都市内・清水寺の中にある阿弖流為と母禮(モレ)の石碑を見て学生の頃に「おお、これが日本史でちょっと出てきたあの阿弖流為の!」て思ったからかもしれません。



さて、元が小劇場系の演劇だったので、お客さんを巻き込む演出も。
入り口で配られたチラシとリストバンド。

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ラストの演出に、みんなも参加してくださいね~。

というもので、これについては「観客参加を強要してるようでいただけない」という意見も見かけるけど、私としてはいいやんいいやん!て思いました。
アイドルのライブで腕の筋肉が痛くなるほどペンライトを振るタイプですから。
私も田村麻呂が見上げるお星さまのひとつだよ。


この日はステンディングオベーション&カーテンコールも繰り返しあって、最後のコールでは染五郎さんが「今日はもうこれで終わりなんだからねっ!」て感じにくしゃくしゃの笑顔でわっしゃ~~~て両手振ってくれたのがキュートでした。


あと、今回の席は3階席最後列の端っこで。
ちょうどすぐ後ろに大向うさん(掛け声をかける方)がいらっしゃって、見せ場見せ場で後ろから掛かる声に「おおっ!」とテンションあがりました。
大詰めの頃は後ろからこのおじ様が鼻をすする音なんか聞こえてきてよかったです。
度重なるカーテンコールではおじ様もヒートアップ。

「っっっら゛い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛(高麗屋)!!!!」

私もFuuuuuuuuuuuu( ^o^ )✩ て気分アゲアゲになったんですけどね。
終演後、会場の明かりがついてすぐ、そそくさと階段に向かうところで他の大向うさんと「あっ、おつかれさまでした~(´∀`)」てめっちゃ穏やかな声で挨拶されててそのギャップにいい具合に脱力。



【今日のノート】

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阿弖流為 (K.Nakashima Selection)

阿弖流為 (K.Nakashima Selection)

記事を書いているのはこんな人です。
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